• Numadate Mikio

虫の力にもかなわないのにITってか



「この頃、『スマート農業』について聞かれることが多くなりました」


ー ITの導入ですね

「そうですね。簡単に言っちゃうと、農業にコンピューターを導入して効率よく育てましょうというものです」


ー 神田さんの農場での1秒も無駄のない動きに効率が入り込む余地あるのかな?

「いろんな会社から電話がかかってきますが、実際にそう言います。『農業にコンピューターを導入してウンヌン』と。ナメテますね」


ー 農業を舐めてる?

「私は電話越しに、いろいろ農業の現状を話します。土壌分析の話や、工業製品との違いなど、彼らが欲しそうな話題を振っているつもりです。が、ほとんど聞いてませんね、あれは。私の感覚ですと、ここ数年ですね。スマート農業とか、農業のIOTとか、農業にAIを……とか。ビジネスチャンスがそこにあるということで、みんな動いている。これは国策でもあるから、そうなっているんでしょうけども、大きな枠組みで見た場合には、これは危険な感じもするわけです」


ー 危険とは? 具体的に言うと?

「まず、一つの機械なりセンサーを作って何かを計ろうというときに、いったいどのくらいのSE(システムエンジニア)が必要なんでしょうか。ものすごい数だと思います。情報が蓄積されてきて、高度化してくれば、そうしたSEたちは必要なくなるという議論がありますが、本当でしょうか。ますます多くのSEが必要になると私は思っています。SEというのは、私の世界の言葉を使えば「土方(どかた)」で、細分化された現場に、本当に多くのSEの土方がいます。Kさんじゃないけど、それぞれは大枠の全体像を知らないまま、与えられた任務を淡々とこなしているんです。今は役所にもたくさんいます。影に隠れているから分からないけど、ビックリするくらいの数でいます」


ー 全体を見ることができないで画面とにらめっこしているSEさん。病みそう。

「それで、私が懸念しているのはー! スマートなんちゃら….っていうのは、このSEという土方を使って、大きく国が上から管理するシステム構築じゃないかと」


ー ビッグデータに取り込まれて国に管理されるというんですね

「実際にはコスパはものすごく悪いのに、便利だ便利だで、みんな乗っかって、本当ですかと。プログラムを入力するのは人間ですからね。便利な陰で、実はすごい数の人が、それを(税金で)支えるという構図なんじゃないかと」


ー 良い点もあるのでは?

「農業の世界で言えば、せいぜいが、物流の問題とか、末端の売れ行きを把握して生産調整をできるくらいで。でもこれだって大変だ。コンラッドさんが挙げていた宮台Youtubeで『人々が合理性を志向する限り、最大のノイズは人間』というのがありましたけど、そういう人間の好き嫌いや不合理な感情の動きは、コンピューターにはできない。栽培における細かな管理も、スマート化するだけでは、現場はそこまで劇的には変わらない。変わりたいけど変われない」


ー 養老先生が、コンピュータが人間に近づくことはない。人間がコンピューターに似てくるだけだって。「自分のことも自分の奥さんのこともわからないのにコンピュータにわかるはずがない」って

「AIを使って画像を解析して、虫だけを殺して無農薬とか、やってますけど、無理です。虫の力をナメテます。宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』じゃないですけど、虫の力には人間はかなわない。足元にも及ばない。ちょっとまとまりがなくなりました。電話かけてくる人たちが、夢のようなことを言うから、ちょっと書きました」

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